2012年 01月 24日
読めなかった絵本
その中に、コタも私も大好きで 何百回となく読んできたっていうのに、震災後は本棚の隅っこに立てかけたままになっている一冊の絵本がありました。私が、開けなかった・・。でもね、ちょっと前にコタロウが、
「お母さん、読んで!」
と持ってきたので、久~しぶりに開きました。
それは、『てんにのぼったなまず』
ある村に、絵の好きなおじいが住んでいた。
ある日その村で、婚礼の儀式の最中に大きな地震が起こり・・・
巨大な津波が押し寄せる。海は何度もふくれ上がって、家や人や牛や馬までも
ものすごい力で さらっていった。
稲は全滅して一粒の米もとれない。塩をかぶった田畑には蕎麦さえ育たない。
生き残ったおじいは、元気のない子供たちのために ふんどしにナマズの絵を描いた。
こどもたちは ふんどしをもって はしった。そして
こえをかぎりに うたった。
なまずよ なまず
てんまでのぼれ
おじいのかいた おおきななまず
かみがないから ふんどしなまず
こどもたちがうたうと ふんどしのなまずは
そらへおどりながら のぼっていった。そして
そらいっぱいに およぎまわった。
このナマズが雨を呼び、雨は何日も降り注ぎ、塩をかぶった田畑へと 山の土をどんどん流し込んで行く。そして、土は生き返った。
大好きで何度も何度も読んできた絵本なのに・・・1年近い時間を経て改めて読んでみると、あぁ、こんなお話だったのか、って全く違う物語のような気がしました。あまりにも生々しくて開けずにいたけれど、これは ただ単に津波のお話ではなく、津波で壊滅的な被害を受けた村の、復興までの物語だったんだね・・。
今これを学校で子どもたちに読んであげたいとは思いません。でも今だからこそ、私の心にずっしりと響いてきたんだと思う。「大好き」って、今までこの絵本のどこが好きだったんだろうな~
これからも、私の大切な一冊です。
てんにのぼったなまず
作・絵:田島 征彦 / 出版社:復刊ドットコム
by melmo-44
| 2012-01-24 09:19
| 絵本
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